しつもんメンタルコーチ 藤代圭一「”しつもん”で考えをより明確に」

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「(メンタルトレーニングを)始めた頃は全然書けない子がほとんどだった。でも今ではこんなに自分の言葉で書けるようになった。」

子供達から手渡された“しつもんメンタルノート”にコメントを書き添えながら、藤代圭一氏は嬉しそうに話してくれた。
藤代圭一、28歳。

フリーランスの“しつもんメンタルコーチ”。
スポーツで結果を出したい子供達に対して、質問を投げかけそれに答えて貰うことで子供達のやる気を引き出すメンタルトレーニングを行っている。“しつもんメンタルノート”とは、藤代氏が考案し製作したトレーニングの必須アイテムだ。ページを開くとそこには、

「この練習が終った後どんな状態になってたら最高?」

「その最高の状態にするには何をしたらいいと思う?」

などの質問が並んでおり、子供達は自分の言葉で答えを書き入れる事により、自らの行動を明確にしていくというものである。有名サッカー選手の写真が貼付けてあるもの、目標が大きな文字で刻まれているもの、色とりどりの表紙には子供達の夢がたくさん詰まっており、そして藤代氏が行っているトレーニングが子供達に受け入れられている事が容易に見て取れた。
藤代氏は神奈川県厚木市を本拠地に活動している少年サッカーチーム「南毛利FC」の4年生チームに、メンタルコーチとして今年の6月から指導を行っている。同チームは月に1〜2回、通常のサッカートレーニングとは別にメンタルトレーニングの時間を設けている。そしてこの日、藤代氏が同チームの試合に初めて帯同するという事で取材した。
2012年11月24日、寒雨降りしきる会場は神奈川県秦野市「おおね公園」。全8チームを2ブロックに分けて順位を競う招待試合に南毛利FCU-10は招かれた。藤代氏は朝からチームに帯同。元々サッカー経験者であり自らもスクールコーチの経験がある藤代氏はボール捌きも軽やかだ。

メンタルトレーニングは、ここからここまでがトレーニングという枠組みがない。藤代氏は試合の合間には必ず選手に寄り添い、試合の感想や次の試合に向けて何が必要かといったコミュニケーションを図り、選手のメンタルをケアしていた。ただ1度だけチーム全体で行ったトレーニングが2試合目と3試合目の合間を使って行ったチームビルディング。「チームとして戦えていない」そう感じたからこそ選んだワークだ。
選手全員を縦に整列させボールを後ろの人に投げてキャッチするというもの。ルールは3つ。

1.全員同時に投げる

2.後ろを見てはいけない

3.落としてはいけない

簡単なようで全員の気持ちが揃わなければなかなか成功はしないゲームだ。ゲーム前には選手達が2人1組に分かれてどうしたら成功出来るか話し合いの時間を持たせ、そして全員の前で意見発表をさせた。ここで印象的だったのは選手達が積極的に発言をする事だ。しかもなんの躊躇いもなく。そして、相手の意見をしっかり聞く姿勢がある事。なんと相手が意見を言い終わった直後に「いいね!」と言って拍手をしていたのだ。特に藤代氏が指示をした訳でもない。普段のトレーニングからこういう雰囲気が培われており、この雰囲気であればどんな事を発言しても否定される事はないという安心感があり、自分の意見をはっきりアウトプットする事が出来るのだろう。
こういう記憶はないだろうか。

「これを言ったら周りの人間はどう思うだろう。お父さんは、お母さんは、コーチは、チームメイトは、同僚は、上司はどう思うだろう。この意見を言っていいものか。」

自分の意見を言う事をためらった事が筆者は何度もある。

しかし、南毛利FCの選手達の間にそういった雰囲気は感じられなかった。
結局ワークは一度も成功はしなかった。しかし、ワークは単なる手段であり、目的は別にある。藤代氏から投げかけられた

「なんでこのゲームをやったか分かる? このゲームで何を学んだ?」

という質問に対しある選手から、

「みんなで協力する事がいかに大事か分かった。」

との回答があった。要はチームスポーツ。全員が同じ目的に向かって気持ちを合わせなければ勝利は無いという事をこのゲームを通じて伝えたかったのである。

「もっとチームで戦って欲しいからこのゲームをやった。皆で力を合わせて欲しいから。」

藤代氏の想いは選手達に伝わったのではないか。

試合は4戦全敗。結果としては良いものではなかった。まだまだ手探り状態。そして発展途上だ。そんなに簡単に結果は出ない。しかし、藤代氏は言う。

「(子供達は)ものすごく変わったと思う。メンタルコーチとして選手と対峙し始めた直後に比べてすごく成長したと思う。まず人の話を聞けるようになった。それと人のせいにしなくなった。」

“しつもんメンタルノート”に関しても同様だ。

「最初は設定されている質問にほとんどの子供が回答を書く事が出来なかった。でも、今では自分の言葉でスラスラ書けるようになった。」
メンタルコーチとして子供達と関わり始めて約半年だが、子供達の成長は明らかに見て取れるという。
メンタルトレーニングや“しつもんメンタルノート”はあくまでも手段であり目的ではない。子供達にとって何が一番大切か。それは、

「子供達が自らの考えを明確にし、それをアウトプットする事。その為には、子供達が導きだしたその意見を否定するのではなく、周りがしっかりと聞く事が出来る環境を作り出す事が最も大事なのではないか。」藤代氏と子供達の新たな挑戦は続く。

しつもん①

しつもん②

しつもん③

 

 

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